教育資金は「負債」と考えてみる
子どもの教育には、いったいいくらのお金がかかるのでしょうか。
公立か私立か。
大学は国立か私立か。
大学で自宅から通うのか、一人暮らしをするのか。
家庭によって条件は大きく違います。
それでも、ある程度の進路が見えてくれば、これから必要になる教育費を事前に見積もることはできます。
私は、教育資金について考えるとき、「将来の負債」のように捉えてみることが有効だと思っています。
どういうことかと言うと、教育費を「いつまで続くか分からない毎月の固定費」として漠然と捉えるのではなく、いつまでに、どのくらい必要になるのかを見える形にするための考え方です。
教育費が家計を縛ることがある
特に、お子さんを私立に通わせている家庭では、教育費が家計のかなりの部分を占めることもあります。
毎月まとまった金額が必要になると、
この費用を、これからもずっと払い続けなければならない。
という感覚になりがちです。
そうすると、働き方についても、
「今の収入を維持しなければいけない」
「仕事を辞めるわけにはいかない」
「収入が下がる選択肢は取れない」
「贅沢はできない」
という意識が強くなります。
教育費を負担するために働いている、という感覚になってしまうこともあるでしょう。
もちろん、実際に毎月の支払いがある以上、それを無視することはできません。
ただ、ここで一度考えてみたいことがあります。
教育費は、本当に永遠に続くのでしょうか。
教育費には「終わり」がある
子どもが小学校に入れば、小学校の教育費が発生します。
その後、中学校、高校、大学と進めば、それぞれの段階で費用がかかります。
しかし、大学を卒業すれば、基本的にはその教育費の大きな支出は終わります。
つまり教育費は、毎月発生する支出ではありますが、期間の決まった支出でもあります。
そして、代表的な負債である住宅ローンと比べると、その期間が短いことが大きな違いです。
ただし、大学には4年間で卒業する一般的な学部だけでなく、医学部・歯学部のように6年間の修業年限が定められている課程もあります。
そのため、進路によって教育費が続く期間は大きく変わります。
だからこそ、現在の教育費だけを見て、
「この支出がある限り、今の働き方を変えることはできない」
と考えるのではなく、
「あと何年、いくら必要なのか」
まで含めて考えてみる。
そのために、教育資金を「将来の負債」のように捉えてみることに意味があると思っています。
すでに、その教育費を払えているという事実
もう一つ、私がこの考え方を大切だと思う理由があります。
例えば、お子さんを私立に通わせている家庭を考えてみます。
もちろん教育費は大きな負担です。
しかし、その家庭は、現時点ですでにその教育費を支払えるだけの収入を得て、家計を維持しているとも言えます。
そして、その期間に金融資産などを積み上げている可能性もあります。
そうであれば、
「これからも毎月この大きな教育費を払い続けなければならない」
という恐怖だけを見るのではなく、
「ここまで実際に家計を維持してきた。そして、この支出には終わりがある」
という事実も、一緒に評価してよいはずです。
もちろん、将来の収入や資産が保証されているわけではありません。
だからこそ、教育費を数字にして、残りの期間と金額を確認しておくことが重要になります。
教育費を理由に、今を犠牲にしすぎない
教育資金について考えるとき、もう一つ気をつけたいことがあります。
教育費の負担が大きいからといって、家族での旅行やレジャー、日々の経験まで必要以上に削ってしまうことです。
もちろん、教育資金を準備することは大切です。
でも、子どもが成長すれば、それに伴い、子どもには子ども自身の友人関係や生活が出来上がっていきます。
「教育費が一段落したら、家族で思い切り旅行をしよう」
と思っていた頃には、
「もう子どもは一緒に来てくれない」
ということも、十分にあり得ます。
そう考えると、教育費がかかる期間というのは、単に「お金がかかる期間」であるだけではありません。
子どもと一緒に過ごせる、かけがえのない時間でもあります。
教育資金を準備することと、今しかできない家族との時間を大切にすること。
この二つを、どちらか一方だけを優先する問題にしたくはありません。
だからこそ、教育資金については、できるだけ具体的な数字を把握したうえで、資金に対する考え方に幅を持たせることが大切なのだと思います。
「一般的に総額いくら」ではなく「我が家は残りあといくら」
教育費を考えるとき、
子ども一人につき、大学卒業までに○○万円必要
という数字を目にすることがあります。
しかし、家庭にとって本当に知りたいのは、それだけではありません。
子どもがすでに小学生なら、小学校でこれまでに支払った教育費はあります。
中学生なら、小学校の教育費はすでに過去の支出です。
高校生なら、大学までの残り期間も短くなっています。
そこで、このシミュレーターでは、お子さんの現在の学年を入力できるようにしました。
現在までに支払ったと考えられる教育関連費と、これから必要になる教育関連費を分けて計算します。
教育資金シミュレーター
教育資金シミュレーター
入力するのは、主に次の項目です。
- 現在のお子さんの学年
- 小学校:公立/私立
- 中学校:公立/私立
- 高校:公立/私立
- 大学:国立文系/国立理系/私立文系/私立理系/私立医学/私立歯学
- 大学:自宅通学/一人暮らし
シミュレーターでは、
- 大学卒業までの教育関連費の総額
- これまでに支払ったと考えられる金額
- これから必要になる金額
を分けて表示します。
さらに、現在すでに教育資金として確保している金額を入力すれば、これから追加で準備する必要がある金額も確認できるようにする予定です。
なお、大学については、一般的な学部を4年間として計算する一方、医学・歯学については6年間として計算します。
一人暮らしを選択した場合は、その期間に応じて大学在学中の生活費も加えて計算します。
教育資金を「見える負債」にする
教育費は、確かに大きな家計負担になることがあります。
だからこそ、その負担を曖昧なまま恐れるのではなく、
「あと何年、あといくら必要なのか」
を数字にしてみる。
すると、
「今の収入を絶対に維持しなければならない」
という漠然とした感覚から、
「あと○年、この金額を賄えればいい」
という、より具体的な問題に変えることができます。
もしかすると、既にそれを賄える金融資産をお持ちの場合もあるかもしれません。であれば、「教育資金として確保している資産があるから、必ずしも今後の教育費をすべて毎月の収入だけで賄う必要はない」と考えることもできます。
こうした発想は、働き方や資産形成、あるいはお金の使い方について考えるときにも意味があるはずです。
教育費を準備することは大切です。
でも、教育費のために、子どもと過ごせる今の時間まで失ってしまっては、本末転倒かもしれません。
将来の教育費をきちんと見積もることは、将来のために今を我慢するためだけではなく、今をどこまで大切にしていいのかを考えるためでもある。
私は、そんなふうに教育資金を考えてみたい。
数字の根拠について
このシミュレーターでは、文部科学省や日本学生支援機構(JASSO)などが公表しているデータをもとに、教育費の目安を設定しています。
ただし、これらはあくまで平均値や標準額です。
実際の教育費は、学校、地域、進路、塾・習い事、大学での住居形態などによって大きく異なります。また、将来の学費や生活費が現在と同じとは限りません。
したがって、このシミュレーターの結果は、必要資金の確定額ではなく、現在の公的データをもとにした試算値としてご利用ください。
使用している具体的な数字や出典については、次回の記事でコンパクトに整理します。
この記事が参考になりましたら、シェアしていただけると励みになります。
