フリマアプリで偽物と疑われたら?「訴える」と言われた時の体験談と対処法【#38】

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以前、フリマアプリで、ブランド物の小物を売ったことがある。

もちろん、偽物を売ったわけではない。

自分が持っていたものを整理するために出品し、買い手がついて、代金を受け取った。

ここまでは、ごく普通の取引だった。

ところが、しばらくして購入者から連絡が来た。

「これは偽物だ」

さらに、

「訴える」

という。

……え?

一瞬、頭が真っ白になった。

こちらとしては、本物だという認識で出品している。

それなのに、「偽物だ」「訴える」と言われる。

どうすればいい。

何を言えばいい。

こちらから何か反論したほうがいいのか。

いろいろなことが頭を駆け巡った。

そこで、弁護士をしている友人に相談した。

一通り事情を話すと、友人は、

「まず、そんなに狼狽えなくていいよ」

と言った。

そして、

「最大損失を考えてみなよ」

と。

最悪の場合でも、自分が失う可能性があるのは、その取引に関係するお金と、対象になっている品物。

もちろん、それでいいという意味ではない。

でも、少なくとも、頭の中で膨らませていたほど、とてつもない話ではなかった。

まず、それだけで少し安心した。

ところが、安心すると、今度は別の感情が出てきた。

……それにしても、悔しい。

本物なのに。

こちらに落ち度がないのに、こんなことを言われるのは納得できない。

「こっちから何か反撃することはできないの?」

思わず聞いた。

すると友人は、

「そういうこと考えることこそ、やめたほうがいいよ」

「できるかどうかじゃなくてさ。そんなことに時間と労力を使うのがもったいない」

……なるほど。

相手に言い返す。

こちらの正当性を証明する。

場合によっては、こちらから何か対応する。

できることはいろいろあるのかもしれない。

でも、それをやった先に、自分はいったい何を得るのだろう。

友人は続けた。

「こういう個人間のトラブルの元になるから、俺は個人間の売買、特に売る側になるのはあんまり勧めないな」

「買う側だって、買うなら、最悪、お金を払ったのにモノが届かない、偽物かも知れない、それでも仕方ない、くらいの覚悟は持っておいたほうがいい」

そして、こう言った。

「こういうトラブルに発展することがない、っていうのが、プロとの取引における安心であり、価値なんだよ」

その言葉に、ハッとした。

そうか。

自分は今まで、売買の「金額」しか見ていなかった。

いくらで売れたか。

いくら得したか。

でも、今回、自分が実際に負担したものは、それだけではなかった。

やり取りに使った時間。

どう対応するか考えた時間。

そして、何より、嫌な思いをした。

そこでふと思った。

この取引で得られた対価は、果たして、それに見合っていたのだろうか。

金額だけを見れば、損をしていなかったのかもしれない。

でも、その取引のために、自分の時間と心をかなり使った。

それを考えると、なんとも言えない気持ちになった。

以来、フリマアプリで何かを売るとき、買うときには、少し慎重になった。

これに懲りてやめた、という話ではない。

これで騙されたとしても、その時はその時、仕方ないと潔く諦めよう。

そう覚悟して、取引を始めるようにした。

私も、その後もフリマアプリを使っている。

ただ、あのときの経験から、

お金だけでは、取引の価値は測れない。

この点は身に染みた。

「面倒なことが起きない」

ということそのものに、お金を払う価値がある。

あのとき友人に言われた言葉は、今でも印象に残っている。

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